11karasawa 紅葉とお祭り混雑の涸沢
  2011.10.08〜10

今年も巡って来ました、紅葉の季節・・・
思えば10年目のアルプス紅葉鑑賞旅。
北アルプスから南アルプス・・・10年間欠かさず良くも毎年通ったものであります。

今年は漫画から映画化された「岳」の効果か、山ガール、山ボーイの入山者も大挙押し寄せるらしいのです。

上高地の玄関口、沢渡地区の駐車場のキャパシティーも限りがあることもあって、前夜10時ツクバを発ちました。

読者諸兄には真に申し訳ありませんが、東日本大震災の被災者高速道路無料措置の恩恵を甘受して、一路上高地を目指します。

休憩タイムもしっかりとって、沢渡に3時15分に到着すればすでに大橋P、第二Pは満車です。
石見平駐車場にぎりぎり滑り込んで後ろの1台で満車・・・きわどくセーフだったのです。
これで公営の駐車場は全て満車・・・後に係員に聞いたところ、入りきれない車は上高地は諦めてもらう他はないそうな・・・

多少の仮眠後、8時のシャトルバスで上高地の人ごみに到着しました。

爽やかに冴え渡った上高地の青空、奥穂、西穂、焼岳の嶺々が光輝いています。


梓川の清冽な流れ、唐松の緑、又ここに帰ってきました。

河童橋からの奥穂高の絶景、多くの観光の方と記憶にとどめます。


1時間の歩行で明神に到着します。

秋を彩る・肝木(カンボク)の鮮やかな赤い実がなっています。
スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木です。

初夏にガクアジサイに似た花が咲き、秋に赤い実をつけますが、野鳥も食べないほど苦くて食用にはならないのです。
木材に香りがあり、楊枝などに使われるそうです。

そしてマユミのピンクも控えめな実もはじけています。
ニシキギ科ニシキギ属の小高木です。
近種のツリバナは新芽が鋭く尖っていますが、マユミの芽は丸々としているようです。
花は初夏に咲き、薄い緑で、四弁の小花です。

秋には果実が枝にぶら下がるようにしてつき、小さく角ばった四裂の姿です。
果実の色は種により白、薄紅、濃紅と異なりますが、どれも熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れます。

明神では毎年鮮やかに色づいた果実を見る事が楽しみになっている様です。


明神の広場の真ん中には真っ赤に実ったズミの実が見事なのです。
バラ科リンゴ属の落葉小高木です。

別名コナシとも言われて上高地には多くの群生地があります。
実が熟すと梓川流域の野生のサルにとって貴重な食物になっているようです。

お馴染みの北尾根の尖峰に見とれながら歩を進めます。


明神から1時間・・・徳沢のテント場に到着します。

あれっ・・・例年にないテント村の出現です。
まだお昼なのにおおよそ100張くらいのテントの花が咲いていました。

さてマユミの木の懐にわがテントを張りましょうか。
今宵はスパゲティーミートソースです。
新鮮なレタスサラダ・・・贅沢な晩餐でした。


早朝に目覚め6時涸沢目指し出発します。
モルゲンロートに染まった北尾根に抱かれながら梓川にそって横尾に進みます。

着いた横尾も多くのテントの花が咲いているのです。
そしてトイレも長蛇の列が。

この先の登山道の渋滞が思いやられます。

登山道に張り出した赤い木の実・・・ツリバナ・・・です。
ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木です。

オオツリバナは実が裂けると丸いのですが、ツリバナは実は裂けると陵があり角ばっています。

横尾から本谷橋までは順調に歩を進めます。
大勢の登山者で賑わっている本谷橋で瑞々しい梨を頬張ります・・・甘くて最高・・・

さてここから涸沢までで大きなツアーとのすれ違いが始まりました。

・・・紅葉は・・・赤くも黄色くもなく、茶色なんです・・・
早すぎた寒波と降雪ですっかり枯れてしまったのでしょうか。
それでも抜ける様な青空、気高い峰々・・・満足以外のなにものでもありません。


そして大勢の人々で賑わう涸沢に到着です。

それ〜〜今回の第一目的・・・おでん・・・を目指します。
えっジャガイモは売り切れなんですか・・・しょうがないから全品一通りを注文します。

絶景も眺めながら、美味しいおでんに舌鼓を打ちましょうか。


奥穂高・・・涸沢槍・・・北穂高・・・大パノラマが展開されます。


それにしても凄まじいテントの数です。
後日涸沢小屋のブログで確認すれば・・・800張とも1,000張とも。
テント適地はせいぜい500張・・・当然オーバーユースでごつごつの岩の上にテントを設営した方も多かったのでしょう。
それでも設営出来ず泣く泣く横尾まで戻ったグループもいたとの事なのです。


帰路は渋滞を恐れて往路辿った横尾コースは避け、パノラマコースを選択します。
屏風のコルからの槍ヶ岳も見ることができるコースです。
しかし・・・この選択が大きな誤りであったとは・・・

パノラマコースのトラバースルートを快調に進みます。
悪場を数ヶ所越せばなにやら前方がつかえ始めたのです。

小尾根を越した所で100人くらいの長蛇の列が狭いトラバースコースに溜まっているのです。

左側は切れ落ちた登山道の幅は50センチ、所々凍結もしています。

そんな時後方でガラガラと落石の音・・・誰か狭い回廊から滑落したようです。
幸い若い方で5m程度の滑落で事なきを得たようでほっとした次第です。

なんと1時間10分かかって小尾根を越せば、7m程度の下りギャップがあります。
しっかりしたロープも設置してあり、さほど高度感も無く、難易度も低いギャップです。
しかし・・・5人に一人くらいの率でセミ状態で動けない方が出てしまっています。

もっとリーダーがしっかりサポートすれば無問題の登山道なんですが・・・
リーダーもメンバーもモラルと資質の低下が問われるのでしょうか。

そして屏風のコルに何事も無かった様に到着しました。
さて梨タイム・・・う〜〜〜んこの豊水梨の美味しさに、先ほどの渋滞ストレスも飛んでいきます。

槍が首を傾けて見守ってくれているようです。


屏風のコルから慶応尾根を越えて、大きな岩の連続する登山道を降下して、奥又白出会いから新村橋・・・徳沢へと無事帰還したのでした。

そして充実した落ち着いた夜・・・今宵の晩餐は・・・カレーと海草サラダ・・・贅沢な一時を味わいました。


さて朝寝坊を貪って夜露に濡れたテントを撤収し、一路上高地を目指します。

このあたりで明神岳にも別れを告げましょう。

フイフイとゴジュウカラの鳴き声・・・大好きな野鳥です。


大勢の観光の方で賑わう上高地に帰ってきました。

少し霞み始めた空気の中、西穂高、焼岳が聳えていました。

さても凄まじいばかりの涸沢の混雑をなんと評すればよいものか。

スタイルから入ったと公言して憚らない、華やかな山ガール・山ボーイさんたち。
ちょっとしたギャップで動けなくなるメンバー・・・それをサポート出来ないリーダーを名乗る人々。

これはやはり涸沢狂想曲なのでしょうか・・・はたまたお祭りなのでしょうか・・・

古い時代に山の教育を受けた私には理解出来ないことばかり・・・愚痴でしょうか。

きっと来期は時期をずらすか、別の紅葉を楽しんでいることと思うのです。

紅葉は残念でしたが大きな青い空、でっかい北アルプスの峰々、感動を心に刻んで終了です。


・10/8 ツクバ(22:00)=沢渡(3:15〜8:00)=上高地(8:30〜8:40)〜明神(9:50〜10:10)〜徳沢(11:30)

・10/9 徳沢(6:00)〜横尾(7:10〜7:30)〜本谷橋(8:40〜9:00)〜Sガレ(9:30〜9:40)〜涸沢(10:10〜11:30)〜屏風のコル(13:10〜13:30)〜奥又白出会(15:00〜15:20)〜徳沢(16:00)

・10/10 徳沢(7:00)〜明神(8:00〜8:20)〜上高地(9:20〜9:40)=沢渡(10:30〜11:00)=ツクバ(16:10)